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ISO9001に基づく品質保証体系

ISO9001では、品質マネジメントシステムの確立と文書化が要求されます。

品質マネジメントシステムを確立するためには、ISO9001に準拠した品質マニュアルを頂点とする文書を作成します。

それでは、品質マネジメントシステムの文書体系について、具体的にご説明いたしましょう。

まず頂点に位置するのはのは「品質マニュアル」です。

以下順番に、「会社規定・帳簿」、「部門要領・帳簿」、「計画書類」と続き、一番底辺に位置するのが「品質記録」になります。

品質マネジメントシステム構築を効果的におこなうためには、文書化、必要なプロセスとそれに必要な組織への適用の明確化、プロセスの準備・相互関係の明確化、プロセスの準備・相互関係の明確化、プロセスの運用・管理が効果的になるための判断基準・方法の明確化、プロセスの運用・監視の支援のための資源や情報の利用、プロセスの監視・測定・分析、計画通りの結果の確保・継続的改善の達成、アウトソーシングしたプロセスの管理などが必要になります。

また、ISO9001を取得する企業や組織は、これらの品質マネジメントシステムを構築するために、経営管理システム、顧客満足マネジメントシステム、人材育成マネジメントシステム、品質保証システムを構築しなければなりません。

構築された品質マネジメントシステムの実施や維持は、責任者の権限や責任のもと、その製品に関わる全員によって行われます。

品質マネジメントシステムの確認は、内部監査員によって行われ、マネジメントレビューをもって、経営者に報告されます。

ISO9001品質保証の重要ポイント~製造業の場合

製造業界で企業が生き残るためには、顧客や市場の要求に基づき、使用目的に応じた高い品質の製品を作らなければなりません。

競合企業との差別化を図るためには、製品品質の高さのみならず、価格の安さや、納期の厳守なども求められます。

また、不良品をなくしたり、品質に不揃いがないように製造することも必要になります。

そのためには、製品の生産に関わる人材の確保、製品の材料の選定や入手、製造のための機械の選定、製造方法などを含んだ、品質管理・品質保証システムを確立しなければなりません。

特に、品質保証は、要求された品質が守られていることを保証するために、企業全体で行われる体系的な活動を指します。

出荷する商品の質を一定以上に継続して確保することが、顧客の要求を満たす品質保証の手段となるのです。

製品の品質を守り、不良品をなくすための試みとしては、AQL(合格品質基準)を定め、それに基づき、抜き取り検査を実施するという方法が行われています。

検査水準は製造業では大きく分けて3段階に定められています。

その検査レベルの水準は、扱う材質によって異なります。
検査を厳重にすればするほど不良品を発見する精度は向上しますが、不良品を根本的になくすためには、原因を追究し、必要があれば設計の段階までさかのぼっての改善対策が必要となります。

顧客の手に渡った製品の品質が一定の条件を満たしていることを保証することが、製造業における品質保証システムなのです。

製造業におけるISO9001品質保証マニュアル

品質保証に関する活動は、製造工程での品質マネジメントが最も大切であるということから、製造業において顧客の品質に関する要求事項を満たすため、まず製造業において導入が開始されました。

製造業における品質保証活動は、ISO9001規格に準拠して定められています。もちろん品質保証に対する考え方は各企業によって様々ですが、顧客の要求を満たす製品を生産するという点は同じです。
ISO9001で言われる品質保証とは、製造業であれば製品の品質のことを指しています。

製造業界の各企業は、独自の品質保証体系図を持っており、顧客や市場が要求している事項を基にした製品の企画から、クレームの対応をはじめとするアフターケアまでを品質保証活動として取り組んでいます。

品質保証活動では、製造段階での不良品のゼロを目指しています。
したがって、不良品が発生した場合は、データ化によってその原因を追究し、改善策を練ることが必要です。
不良品発生データを収集する際には、現場の負担にならない方法を考慮しなければなりません。

製造業における品質保証は、ISO9001品質マネジメントシステムによる工程管理表を元に顧客が要求する基準を満たした品質の製品を提供することです。
この工程管理表を用いて、工程の管理を改善させ、よりよい品質の製品を生産するために常に改善を心がけることにより、ISO9001品質保証体系によるシステムを構築いきます。

ISO9001規格に基づいた品質保証活動を徹底して実施してはじめて、企業は顧客の満足や信頼を得ることができるのです。

品質管理(QC)と品質保証(QA)の密接な関係性

顧客に製品やサービスを提供する際、それらの品質を向上させるために企業が行う活動体系を意味する「品質管理(QC)」と、製品やサービスが顧客の要求を満たしているという確証を得るための「品質保証(QA)」は、どのような関連性を持っているのでしょうか。

一般的に言えば、品質管理(QC)の対象は企業や組織の内部であるのに対して、品質保証(QA)の対象は顧客になります。

品質管理(QC)は企業が目標を設定するので、どこまでも追及することが可能ですが、品質保証(QA)に関しては、顧客の要求やニーズによって、その水準が変化します。

医療業界の場合を例にして説明させていただきます。

たとえば治験分野の場合、品質管理(QC)は、治験の質に求められる条件を満たしていることを確かめるために行われる、治験の質を検証するための活動に関わる全てを指しています。

これに対して、治験分野の品質保証(QA)とは、治験の実施、その結果をまとめたデータの作成と文書による記録、その記録の保存、それをもとにした報告や開示などを指します。
この場合は、QCがQAに含まれることになります。

企業や組織において、品質管理部門と品質保証部門の2つが設立されている場合は、品質管理部門で企業の製品やサービスの品質を保証する基準を設定した上で、それに基づいたシステムを構築します。

一方、品質保証部門では、顧客のクレームや要求に対応して、提供した製品がどのような過程やシステムによって生産されたかを品質管理部門の文書によるデータを参照しながら明らかにします。

また、品質保証、品質管理両部門が一緒になっている企業の場合は、品質保証兼品質管理部が、製品の品質に関わる活動から顧客へのサービス、アフターケアにいたるまで、QAとQCの両方の仕事を受け持つことになります。

品質保証(QA)の基礎知識~品質管理と品質保証の違い

品質保証のQAとは、「Quality assurance」の略であり、効率の良さや品質が求められる製品やサービスの生産活動において、それによって生み出されたものの品質を保証するために必要な証拠を提供する活動を意味しています。

品質保証(QA)は、品質管理(QC)と密接な関連があり、これらの活動によって、生産組織が生み出した製品やサービスが顧客のニーズや期待に適合していることを表します。

品質保証によってカバーされる活動は、設計、開発、製造、サービス、文書など多岐にわたっています。
また、材料の製造や部品の検査の工程などの品質の規定も、品質保証に含まれます。

企業の品質保証(QA)部門での仕事例としては、品質基準を設定し、顧客からのクレームに対応すること、工程管理を設計し、指示を出しフォローに当たることなどがあげられます。

この他にも、不良品を作らないための品質保証活動、品質改善活動の推進、製品の信頼性に対する評価、出荷検査、部品の受け入れ検査なども、品質保証部門の仕事に含まれます。

つまり、品質保証(QA)とは、企業が製品やサービスを企画、生産し、販売してからアフターケアまでの過程の全てで、きちんと文書で表された通りのシステムを構築し実行していますよと顧客に示す、「保証書」のようなものと言えるでしょう

品質保証(QA)は、品質管理(QC)と異なり、企業自身の品質向上を目的にするものではなく、顧客や消費者の満足度、安心感、信頼感の獲得を目指す活動なのです。

品質管理(QC)の基礎知識~PDCAサイクルなど

品質管理とは、顧客が満足する商品を経済的な水準で生産するようなシステムを作り、それを実行するすべての活動を意味しています。

JIS Z 8101 では、品質管理は「買手の要求に合った品質の品物又はサービスを経済的に作り出すための手段の体系。」と定義されています。

日本では、不良品をなくすことを目指して採用され、1960年代から日本の産業社会に普及しました。

初歩的な品質管理は、パレート図、特性要因図、ヒストグラム、グラフ(管理図)、チェックシート、散布図、層別の7つの道具を使って行われます。

そして、「Plan - Do - Check - Action (PDCA)」のPDCAサイクルで実行に移されます。

つまり、品質管理(QC)とは、製品やサービスの品質上の目標点を設定し、それに到達するための取り組みを考案し、それに伴う作業を行い、その結果を記録するなど、目標に近づき、到達するまでの全てのマネージメントのことを指しているのです。

品質管理が品質保証(QA)と異なる点は、目標とするところが顧客の満足や安心、信頼ではなく、企業内のマネジメントシステムの確立や、従業員の意識の向上、製品の品質の向上にあるという点でしょう。

日本品質管理学界の認証を受けた「品質管理検定(QC検定)」という検定も実施されており、国家資格ではありませんが、品質管理においての知識や能力を客観的に測定するのに役立っています。

また、企業の品質管理部門担当者を対象にした、品質管理報告書作成セミナーも各地で開催されています。
たとえば大阪で開催されているあるセミナーは、1日3万9000円程度で受講できます。